高校生の時漢字検定一級に合格し、卒業と同時に大学に進学し新卒で地方の小売業に勤務することとなりました。一般的に漢字検定は2級まで取得すれば実社会で十分な漢字の知識を得ているとみなされます。そのため一見すると趣味の要素が強い漢字検定一級ですが、私の場合就職活動やその後の勤務において役に立った資格であると考えています。
大学在学時の就職活動では履歴書の資格欄に記入すると面接のときに話題にされました。難関である一級の難易度を尋ねられたり当て字に関する話題など多岐に話が及びました。それらは仕事には直接関係ないもののその場の雰囲気を和ませるには最適だったようです。また自分の何かに取り組む姿勢をアピールすることにもつながったようで無事内定を貰うことができました。因みにSPIといった就職活動でよく使われる筆記試験で効果を発揮した資格でもあり面接で不採用になることはあっても筆記試験はおおむね通過することが多かったです。採用後は各店舗での勤務となりこの資格が直接生かされたと感じることはありませんでした。しかし周囲には漢字が読めず産地表示や報告書作成のときに苦労する同僚がいたので漢字が読めるという事実に少なからずよかったと思えることがたびたびありました。私が勤務していたころは産地偽装などが社会でクローズアップされていたころでもあったので正確な情報を正しく伝えるという点では役に立ったのだと思います。その後たびたび転職することとなりましたが、そのたびに面接で話題となり雰囲気づくりに役に立っただけでなく人柄を示す材料としてPRポイントとなってくれた資格でもあります。
漢字検定一級の取得方法は主に問題集をこなしていく作業になります。特にスクールなどはなかったのですべて自分ひとりでやりました。やはり漢字検定の中でも一番難しいだけあってそれまでの下位級とは違い一冊の問題集だけでは足りませんでした。私は5冊以上の問題集を参照し、間違えたらやり直すという作業を繰り返して全部できるまでは他の問題集に手をつけないという学習方法で臨みました。1日の勉強時は大体7時間程度でそれを約8ヶ月間続けました。高校生で時間があるときであったからこそできたのだと思います。本当にわからない漢字は図書館で調べたり関連する書籍を購入して学習しました。特に故事成語などはそれが生まれた時代的背景も踏まえなければ理解が深まらないため歴史書なども参考にしたことがあります。ちまたには多くの出版社からたくさんの問題集や教材が出版されていますが、一番のオススメは漢字検定協会発行のものです。検定を主催しているだけあって問題の傾向をつかんでいるという利点があり無駄のない学習が可能になります。また学習がしやすいように配慮されているということもありわかりやすいというメリットもあります。自分は多くの問題集を長時間かけて取り組んだ格好となりましたが、今振り返ると協会発行の教材に限って学習していればもっと効率よく学習できたと思われてなりません。
取得までの勉強は非常に大変でしたが、その割には実社会であまり役に立っていないと感じることが多いです。しかし精確な読み書きは社会人の基礎力として重んじられていることから取得して無駄になる資格ではないと思います。私生活を通じてこの資格を取得してよかったと感じることは昔の小説や新書を読むことができたりすることです。現代の言葉遣いに改められた小説も多く見受けられますが、古書店などで購入する書籍の中には古い字体のものや漢字表記のものがあります。多くの漢字が読めればそれだけ多くの書籍を読むこともできるのでそれだけ自分を深めることができています。そうした教養的な部分は社会で利益を産む機会が少ないといえますが、実社会で働く人間の根幹となる部分でもあるので人間性を豊かにする上で漢字検定は役に立っていると信じています。