欠けていたのは「想い」を伝える術

学生時代の就職活動時はマスコミ、中でもスポーツ新聞社を第一志望にしていました。就職塾に通った成果か、N社とD社で最終面接まで行くことが出来たのですが、就職塾で学んだ小手先の面接テクニックだけでは乗り切れず、結局内定を得るに至りませんでした。

想いの具体性を考える

社会人7年目を迎えて振り返ると、「想いの具体性」が欠如していたように思いました。例えば、私が好きな食べ物が焼き鳥だとします。

その焼き鳥の好きな理由……(1)甘い辛いタレが好きだから。(2)小学生のころ、たまたま参加したキャンプで作った炭火焼台で鶏を焼いてみたところ、素人の味とは思えないほど香ばしい焼き鳥が出来た。以来その味が忘れられず、より美味しい炭火焼の方法を求めるうち、焼き鳥にはうるさくなった。

……と、このように(1)と(2)の説得力を比較するとき、おそらく全員が(2)のほうが説得力があると感じるはずです。「想い」のひとつひとつには、その想いを抱くに至ったエピソードがあるものです。そういった「想い」の部分を改めて考え直し、整理して臨むだけで、就職活動の結果は大いに変わって来る気がしてなりません。

学生時代の私はこういった「想い」のエピソードに欠けていました。スポーツの知識量に関しては十分だったと自負していますが、「なぜスポーツ新聞社で働きたいか」に対する答えとして、「想い」を上手く伝えられないまま終わってしまったと思っています。

想いを強化するために具体的な行動をとる

さらにもうひとつできることがあるとすれば、「想いを強化するために具体的な行動をとる」ことだと思います。

例えば、私がアイスクリームメーカーA社の営業志望だとします。(1)幼い頃からA社のアイスばかり食べて育ってきたからL社で働きたい。(2)A社のアイスを購入してみたとき、パッケージの文字が大きく読みやすいと感じた。そこでM社、H社、L社など合計7社のアイスを購入してパッケージデザインを比較したところ、A社のアイスはフォントに丸みがあり、フォントサイズも大きめだとわかった。これをきっかけにホームページの構成や店頭のポップなども見比べてみたが、A社のアイスは明らかに子供目線を意識しているものだとわかった。私が幼い頃からA社のアイスを楽しんできたように、今度は私がA社のアイスを活かして子供たちをより楽しませられるようになりたい。

……以上の2例を見比べてみると、やはり(2)のほうが説得力があると感じるはずです。双方ともA社が好きだという点は共通していますが、(2)ではさらに具体的な行動を起こし、熱意を高めていることが伝わってきます。

スポーツ新聞社を受けるにあたっても、今ならもっと記者目線に近づくための具体的な行動を起こし、想いを強化していただろうと思います。学生当時の私もたしかにスポーツ新聞が大好きでしたが、それ以上に何か行動を起こしていたかと問われれば、何もしていませんでした。

まとめ

自分で言うのもなんですが、2社で最終面接へ進んだ以上、惜しいところまでは行けていたのだと思います。しかし、それでも一歩及ばなかったのは、それなりの理由があったからでしょう。だとすると、「想い」を伝える術が乏しかったと言わざるをえません。今でこそ、別の会社に勤め、後悔無く仕事に励んでいますが、もしあの時もっと「想い」を上手く伝えることが出来ていれば……とは思います。

個人的には、業界研究や小手先のテクニックは勉強さえすればどうにでもなると思っています。そこは大したことではありません。けれど、「想い」だけは自分自身の中に答えがあります。「想い」を無視して面接に臨んでも、良い結果が伴うとは思えません。仮に内定を獲得したとしても、入社後にミスマッチを感じる可能性だって大いにあります。だからこそ、「想い」をに重点を置き、「想いの具体性を考える」「想いを強化するために具体的な行動をとる」ことを心がけるべきではないでしょうか。